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09. April 07

テロリストの悔恨

 昔、と言ってもさほど遠くない昔、芝居の中でテロを起こすように指示を受けた事がある。
 それは劇中の演出効果で、制作(私)がテロが起きたと言って芝居を中断し、芝居は急速にエンディングを迎え、しかし何事も無かったかのように続くという、仕掛けであった。もちろんやったのだが、どいうわけか本気でテロを信じちゃう人がチラホラいたりもして、趣味の悪い仕掛けだったとか、ああいう事のは制作が止めなきゃいかんとか言われたり、した。
 私は、その仕掛けの重要性を理解し、少なくとも理解したいと思い、当時既に劇場スタッフでもあったので、じゃあ劇場スタッフとしてもドウナワケ?と言うことも考え、さらには同僚にも意見を求め、今回の件は演出家の意図も仕掛けの着地点も明確だし、むしろやるべきであろうと、判断しての事だったのだがダメな人にはダメだったようだ。
 (ちゃんと意図を汲んでくれた人もたくさんいたが。)演出家は理不尽な思いをし、私も凹んだ。

 今にして思うのは、あの時、そういう誤解を受けかねない仕掛けはイカンと演出家を宥めて止めさせるのが並の制作者、演出家の策略に乗り、且つ、不理解に対しての言葉を用意しておいて事前事後に作品を守ることが出来るのが卓越した制作者なのでは無いかと、思う。どっちつかずの私は、並以下だったわけだ。

 そんな訳で、お台場でテロを起こして井の頭線を止めた私は、今もって悔やんでいる。
 ほほ、演出家より制作の方がやんちゃで困ってますの、くらい言ってやりゃあ良かったぜ。

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